英語試験で「読む・聞く」の2技能のみが出題されることになった来年度実施の大学入学共通テスト。4技能をバランスよく評価する仕組みが崩れたことに、大学側から戸惑いの声が上がっている。採点などが難しい「書く・話す」力はどこが、どう測るのか-。各大学の2次試験の内容にも影響を与えそうだ。
■共通テストに限界
「共通テストは50万人以上が受験し、それを短期間で採点しなければならない。(書く・話す力を試す出題は)現行の体制ではできない」
文部科学省内で15日に行われた大学入試センターの記者発表。試験の担当者はこう話し、理解を求めた。
もともと共通テストの英語試験を「読む・聞く」の2技能にしたのは、4技能を直接測る民間試験の導入を前提にした措置だった。導入が見送られたことで、改めて「書く・話す」力を測る必要が出てきたが、マークシート式が中心の共通テストには限界があり、半ばさじをなげた格好だ。
一方、大学入試で4技能をバランスよく評価するのは国の基本方針。共通テストで2技能しか出題しない以上、各大学の2次試験などで問う必要がある。
しかし、大学側からは「英語の4技能を十分に試す問題を今から作成するのは難しい」(岩手大の入試担当者)との声が上がる。
■対応がバラバラに
共通テストへの導入は見送られても、民間試験を各大学の判断で活用すること自体は可能だ。
ただし、その場合のハードルも決して低くない。大学入試センターを通じた民間試験の成績提供システムが使えないため、大学が自前で成績のとりまとめを行わなければならず、「そのための人員と費用を確保できない」と、首都圏の国立大幹部が打ち明ける。
国立大学協会は8日に総会を開き、各国立大が個別入試で民間試験を活用するかどうか、29日までに方針を発表することを決めている。成績提供システムを活用する予定だった私立大でも方針を順次明らかにしているが、大学によって対応がバラバラとなるのは確実で、受験生らの不安が広がることも懸念される。
一方、民間試験の予定通りの活用を求めていた日本私立中学高等学校連合会の吉田晋会長は「準備を進めてきた子供たちを守るため、それぞれ大学の判断で積極的に活用する方針を示してほしい」と訴えている。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース